創業52年の大手老舗メーカーの開発は若いチームが担っている。
太洋電機産業は、はんだこて関連の総合メーカーとして1965年に創業。以来50年以上に渡り、国内シェアトップクラスの企業として業界を牽引してきた。その高品質かつ多種多量な製品の数々は国内だけでなく60カ国以上に輸出されており、「goot」は信頼のブランドとして世界中で認知されている。大手老舗メーカーである太洋電機産業の電子回路設計を任されているのは、意外なほど若いチームだ。安全性の確保を最優先に、風通しの良い雰囲気のなか、チームで意見交換しながら市場ニーズである製品の小型化、省スペース化、急速な温度上昇が可能なはんだこて、さらに「はんだつけロボット」など新製品を次々と世に送り出す開発メンバーにQuadceptの選定理由や開発のこだわりを聞いた。
Quadceptを選定した理由
小畠氏:
今まで使っていた電子CADがWindows7以降に対応しなくなり、新しいCADの選定を始めたことがQuadceptとの出会いのきっかけです。当社も出展していた展示会で、たまたまQuadceptのブースを見かけ、デモを見て導入検討を始めました。まずは評価版から試してみたのですが、UIが直感的で使いやすい点、また、サブスクリプションライセンスなので、必要な時だけ使える点などがとても気に入りました。それまで使用していたCADは海外製品でメニューも英語、サポートも受けることができず苦労して習得した覚えがあります。それに比べて国産CADであるQuadceptは、日本語対応はもちろん、サポートサービスも充実しており、安心して利用することができています。また、DRCやMRCについても以前は使い方が良く分からなかったのですが、今はオンラインマニュアルやサポートのおかげで各基板に合わせた検査機能のカスタマイズをするなどして、使いこなすことができています。その結果、品質と開発スピードの向上を実現することができました。
和泉氏:
Quadceptを導入する前から基板の試作はピーバンドットコムを利用していました。Quadceptには、ピーバンドットコムとのワンクリック連携があるので、この機能を使って瞬時に見積を確認しオーダーができるのはとても便利で助かっています。要望としては、もう少し中国地方でQuadceptセミナーを開催していただけるとありがたいのですが。
設計から実装、組立まで、すべて社内で内製化
太洋電機産業の強みはなんといっても、設計から実装、組立までをすべて内製化していることにあります。少量多品種生産ができるので、こて先だけでも数千種類以上あります。このこて先ですが、当社製品は他社と比べて壊れにくく長寿命という評価を得ています。なかには20年以上同じ製品を、こて先を交換しながら使い続けてくださっているお客様もいるくらいです。こういうお客様からのオーダーにも弊社の強みを活かして対応することができています。当然、基板の製造に関しては基板製造会社に依頼していますが、部品実装は自分たちで行いますので、レイアウト設計の際には実装のことも考慮しなければなりません。
はんだこての場合、手で持つグリップの中に電源電圧のAC100V~240Vの電圧がかかる製品もあります。そのため、安全性を最優先し、安全規格を満足したパターン設計が求められます。実装時の不良を減らすために部品配置変更など設計の改善を常に実施しています。また廃番部品が発生した場合、同じ性能を満たすには部品点数が増えてしまうということがあります。スペースは同じなのに部品が増えるということは、実装がしにくくなることを意味しますので、要求を両立させるためチームでアイデアを出し合って検討します。そういう意味では、チームが若く風通しが良いので、つねにコミュニケーションを取りながらひとつひとつ課題をクリアしつつ、さらなる小型化、高性能化を実現した新しい製品を生み出すことができています。
これからも、もっともっと新しい製品を開発してリリースしていきたいと思っています。
会社概要
社名 | 太洋電機産業株式会社 |
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代表者 | 片岡義男 |
所在地 | 広島県福山市山手町2丁目16番8号 |
設立 | 昭和40年4月30日 |
Web | http://www.goot.jp/ |
設計から製造まですべて内製化