導入事例「株式会社Xenoma」

衣服そのものをエレクトロニクス化することで、バイタルデータをセンシングする。

伸縮性エレクトロニクスを活かしたスマートアパレルで注目の東大発ベンチャー。衣服そのものをエレクトロニクス化することで、バイタルデータをセンシングする。

  • 株式会社Xenoma
  • 研究開発部 Chief Engineer 後藤 義宏 氏
  • 研究開発部 Engineer 大橋 圭佑 氏
株式会社Xenoma
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早くて親切なサポートが何よりも魅力。回路図からレイアウトまで一気通貫でできるのが良い。

Product / Service -
Circuit Designer PCB Designer

「着るだけでユーザーの動きを認識するスマートアパレル」e-skinの開発を行う、株式会社Xenoma。ウェアラブルデバイスではなく、いつも身に着けている衣服でバイタルデータをセンシングする。この技術を実現したのは、東京大学・染谷隆夫研究室で開発された「伸縮性エレクトロニクス」。Xenomaはその研究室からのスピンオフベンチャーとしてその技術を活かし、伸縮性があるセンサーと回路を服と一体化させ、ごわごわしない普通の着心地のあるスマートアパレルを実現。現在は着るだけで、心拍数などのバイタルデータを取得できるシャツの開発を行っている。将来的にはクラウド上に集められるバイタルデータを解析し、体調管理や病気の予防などに活かすことも視野に入れているという。

注目のベンチャーXenomaで電子回路基板を担当する後藤義宏氏は、創業後半年で入社、一貫して研究開発を行ってきた。大学卒業後に地元のメーカーに就職。その後は大手家電メーカー、ディスプレイメーカーで電気エンジニアとしてのキャリアを重ねてきたが、あるきっかけで知ったXenomaに直感的に興味を持って入社したという。同じように研究開発部で電気エンジニアを務める大橋氏も、業務機器メーカーからハードウエアベンチャーへとエンジニアとしてステップアップしていたが、「被服を再定義できるから」という理由でXenomaの一員になっている。数々の現場を経験して、Xenomaにジョインしたエンジニアたちが語る本音に迫った。

Quadceptを選んだ理由

早くて親切なサポートが何よりも魅力。回路図からレイアウトまで一気通貫でできるのが良い。

後藤氏:

今まで外注していたレイアウト設計をメンバーが増えて社内で対応できるようになったことがきっかけとなり、回路図とレイアウト設計がシームレスに連携しているツールを導入しようと考えたところQuadceptが良いということになりました。それまではベンチャー企業ということであまりお金も使えないという事情もあり、フリーのCADを使っていました。考え方が一般的なCADと違っていて、配線一つ一つもすべてパーツのような仕様になっているため、少し扱いづらかったのが正直なところです。

また、ライセンスに関してもライセンスサーバー不要のフローティングライセンスのような扱いになっているので、社内でライセンスを共有しやすくてとても良いです。CADを移行するとどうしてもライブラリの再構築や操作の習得があって多少時間はかかりますが、全体的にみると開発効率は上がったと感じています。

大橋氏:

私は前職の時に海外製のCADを使っていたのですが、Xenomaに入社してからQuadceptを使い始めました。操作が直感的で分かりやすく、違和感なく使えたのが良かったですね。また、サポートはとても良いです。メールでのやり取りもとても迅速ですし、質問を投げるとすぐに返信があります。いつも親切に対応していただけるこの安心感は、使い始めの人間にとっては大変ありがたいです。もちろん、機能面でも操作面でも「もう少し、こうならないかな」という要望もありますので、引き続きサポートの方とやり取りを重ねて行きたいと思っています。

いつも「それは無理じゃないかな」というところから開発がスタートする。

後藤氏:

あまり詳しくお話しできないのですが、どちらかというと世の中であまり使われていなかったり、あるいは誰もやったことがないような使い方をしたりというのがポツポツとありまして、そういうのってインターネットで検索してもまったくヒットしないこともあります。

そういうときは、なけなしの情報でとにかく試行錯誤を繰り返したり、あるいは代表のツテでその方面に詳しい人を紹介してもらっていろいろと聞いたりしてなんとか乗り越えてきました。

その中でも、やはり苦しい思い出もあるのですが、最初の製品(e-skin DK)を設計するときに、本当に基板作成の直前になってBluetoothモジュールを変更したことがありました。変更したことによる基板自体の問題は特になかったのですが、変更後のモジュールはスペックが低かったため使い方に特殊な処理が必要だったんです。それを知らなかったため、最初のころは「動くPCと動かないPCがある」とか「途中で止まってしまう」とかの不具合が続出しまくって途方にくれたこともあります。

一方、2017年のCESでの出来事ですが、展示会場では数多くの機器が出展されており、Bluetoothが混線して通らないことが多くあります。そこで出展するにあたり、その対策として、5GHz WiFiでまったく見た目が同じものを作りました。展示会場と同じような電波の混線状況が再現できないので、正直、本当に接続できるか分からないままの出展だったのですが、展示会場でもちゃんと無線で接続できている(中身は違うのですが)ように見せることができて大反響でした。

現在のプロジェクトでは、主にバイタルデータが取得できるシャツの開発をしています。まだまだ道半ばではありますが、基板ができるだけ目立たないように、存在を意識させないように作るようにしています。社内は大学発ベンチャーという雰囲気が良い形で残っていて、みんな新しいデバイスが大好きですし、とても自由です。外部の会社からは、大学のサークルのようですねと言われることもありますが、誰もやったことがないことにチャレンジしているので、エンジニアとして、日々情報収集と研究開発に努めています。

会社概要

社名 株式会社Xenoma
代表者 網盛 一郎
所在地 東京都大田区大森南四丁目6番15号 テクノFRONT森ヶ崎303
Web https://xenoma.com/