導入事例「SMK株式会社」

世界が注目するRF、ワイヤレス技術をベースに、
メンテナンスフリーの製品を世の中に送り出す

  • SMK株式会社
  • SMK Electronics Corporation, U.S.A
    森田 敏弘 様
  • SMK株式会社
    SCI事業部東京設計部
    長谷川 智生 様
SMK株式会社
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世界が注目するRF、ワイヤレス技術をベースにメンテナンスフリーの製品を世の中に送り出す

Product / Service -
Circuit Designer PCB Designer Quadcept Force CCM

会社紹介

SMK株式会社は、東京都品川区に本社を置くコネクタ、スイッチ、リモコン、プラグ、ジャック、電源部品、ターミナル、RFユニット、コントロールパネル、タッチパネル、通信モジュール、カメラモジュールなどを製造、販売している企業である。

SCI事業部では、リモコン開発を中心に、カメラモジュールやスイッチ、タッチパネルの開発も行っており、2022年にラスベガスで開催されたCESでは、出展した製品「SCPS Bluetooth Ambient Sensor」が、「Smart Home」と「Sustainability、Eco-Design、Smart Energy」の2部門でイノベーションアワードを受賞するという快挙を成し遂げた。

本インタビューでは、Quadceptを会社の正式CADとして採用した設計部の長谷川氏と、サンノゼでシリコンバレー企業への営業・サポートを担当する森田氏に、製品開発へのこだわりや今後の展望について話を伺った。

開発中の製品について

長谷川 氏:

自分が所属するSCI事業部では、リモコン開発を中心に、カメラモジュールやスイッチ、タッチパネルの開発を行っており、様々なジャンルの製品を開発しています。基本的にRF技術が専門領域ということもあり、自分のチームでは、IoTデバイスをはじめとしたRF製品の設計に従事しています。開発している製品は、すべてBtoB向けです。

お客様からの依頼で受託開発するケースもあれば、弊社の方から提案してお客様と一緒に開発するというケースもあります。特にユニット、リモコンなどの製品に関しては、ほぼカスタム品として提供しています。

森田 氏:

カスタム品が多い理由の一つに、ワイヤレス技術の進歩で双方向通信ができるようになったということもあると思います。昔のリモコンは一方通行の通信だったのでファームウエアも固定で開発できたのが、OTA(over the air)が出来るようになり、ファームウエアも随時アップデートできるようになりました。その結果、お客様からの要望も複雑かつ多様化しているという現状があります。

コモディティ製品だと価格競争になってしまうので、開発負荷は高くても、技術の強みを活かすことができ、ビジネス的にメリットがあるカスタム品に注力しています。

開発・設計のこだわり

長谷川 氏:

前職は無線機器開発の会社におり、昔ながらのアナログRFを開発していました。SMKではほとんどがデジタル製品になるので、最初は多少とまどいましたが、アンテナなどのアナログ領域も残っていたりするので、自分の得意分野を活かすことができています。自分の設計スタイルは、回路設計からシミュレーション、基板レイアウトまでを一人で行うことです。営業の森田が集めてくる顧客からの要望をダイレクトに聞き、試作品に反映させる。このスタイルが、スピードを要求されるシリコンバレーのビジネスに対応するという点でぴったりマッチしているように感じます。

森田 氏:

やはりシリコンバレーでは、スピードが重要です。質問や要望に対して即座にフィードバックしなければ、そこで話が終わってしまうことが多い。その点、我々の開発スタイルはそのスピードについて行けると思っています。

さらに、競合が多い中で他社との差別化を図るには、日本風の「おもてなし」が大切だと思っています。スピーディーにフィードバックするため、シリコンバレーに赴任してからは、自ら現地でソフトウエアを開発し、デバッグすることもあり、時間短縮できるところは工夫しながら要望に対して迅速にお応えしてお客様の心を掴むようにしています。

Quadceptを選んだ理由

長谷川 氏:

SMKでは全社でCADが統一されていなかったということもあり、導入しやすく機能もしっかりしたCADを探していたところ、インターネット検索でQuadceptを見つけました。

使いやすそうな印象だったのと、ハイエンドな機能を備えているCADの中でも低コストでスタートできそうだったので、まず自分ひとりで使い始めました。最初はQuadceptを使って試作品の設計をしていたのですが、普通に使えることが分かったので、一年後に量産設計も行い、問題がないことを確認しました。

二年ほど使った後、会社の正式CADにしようと動き始めました。
当社の技術管理部門と一緒にプロジェクト化し、2018年に社内の正式CADとして採用されることになりました。CADを全社で統一するためには、部品ライブラリの統一化など、超えなければならないハードルが多くあり、海外拠点も巻き込んだ電子部品の一元管理の難しさを実感しながらも、Quadceptの担当者と一緒に現在進行系でプロジェクトを進めています。

Quadceptで気に入っている点は、やはりUIです。
直感的な操作で簡単に使うことができるので、スマートフォンのように誰でも普通に使える親切なUIだと思います。

使い始めの頃はフォーラムに機能要望を書き込んだりしていたのですが、それもここ数年でほとんど実装され、定期的なバージョンアップで、欲しかった機能も格段に増えて満足しています。

今後は設計データの見える化、データの一元管理によって全社的な設計業務効率化を実現すべく、PLMとしてのQuadcept Force全体の完成に期待しています。

CES Innovation Award 2022 受賞

森田 氏:

今回、CESに出展した製品「SCPS Bluetooth Ambient Sensor」は、「Smart Home」と「Sustainability、Eco-Design、Smart Energy」の2部門でイノベーションアワードを受賞しました。

この製品の特徴は、バッテリーを交換する必要がないという点です。エナジーハーベストとして、二つの電力源を使用しています。一つは太陽光電池を使った光発電。そしてもう一つはマイクロ波を使った電力伝送。この二つの電力源を同時にハイブリッドで使用できるようにしました。これらの技術を応用した製品をお客様に提案していきたいと考えています。ターゲットとしているのは、高い天井などに取り付けるセンサーや公共のトイレに使用されているリモコンなどで、電池交換を不要にすることでメンテナンスの軽減につながる効果が期待できる製品です。

アワード受賞の効果か、引き合いもたくさんいただいており、ワイヤレス製品に対する需要の高さを実感しています。当社の強みはカスタムなので、今後も、このようなコンセプト製品を見たお客様からの要望に応じて、保有技術であるハイブリッドエナジーハーベスト、レイダー、ライダー等の技術を組み合わせた最適な製品が提案できるよう、励んでいきたいと思います。

会社概要

社名 SMK株式会社(SMK Corporation)
代表取締役社長 池田 靖光
所在地 〒142-8511
東京都品川区戸越6丁目5番5号
創業 1925年(大正14年)4月3日
設立 1929年(昭和4年)1月15日
資本金 7,996百万円
Web https://www.smk.co.jp